新宿メロドラマ

安っぽいヒューマニズムは要らない。高いのを持ってこい。

うさぎふらすこがまた何か出したようです。

政治結社「うさぎふらすこ」が新サービスの提供を開始したようだ。

「ようだ」というのは、私がこの開発に携わっていないばかりかリリースが決定された日の会議もまた欠席していたからだ。


今回リリースされたのは「エクセル風2chビューワ」。

会社の上司や同僚による監視下にありながら2ちゃんねるを閲覧したい御仁のために供される、MicrosoftExcel様のインターフェースをもった2ch閲覧ツールだ。

がしがしVIP板を繰っていても、遠目に見るとExcelを操作して「何かしている」ように見える。

これは「30代の男性の仕事の邪魔をする」というゴールの見えないゴールのために発案・開発が行われたものであって、1ヶ月ぐらい企画会議が繰り返されたあと、着手して3時間で完成するのはいつも通りのご愛敬であった。

リリース後から「百式」、「ネタフル」その他のお好きな向きに取り上げられ、うさぎふらすこ座長も手応えを感じておられるようであったが、人の画像をアップすると顔がシャアになる「3倍速い画像変換」以来の迷惑なツールの出現に私ときたらおろおろするばかりだ。

「エクセル風2chビューワ」もまた今後はアプリ化することでよりステルス性を高めるなどのバージョンアップでその迷惑さに磨きをかけていくというから申しわけのない限りである。


うさぎふらすこは「インターネットは人類の未来を拓いたりとか、そういった大層なことは別にしないだろう」というごくシンプルな虚無感のもとに集った開発者やデザイナー、あるいは単に暇な人(私だ)によって構成されるプロジェクトである。

理念が否定形なので目標が決まらない。


しかし世の中、「ヒット」には様々な責任が潜在し、付帯する。

そして無責任であることがインターネット「社会」の唯一の定理であるとするならば、うさぎふらすこはヒットの出現や存在自体を否定しているようにも見える。

ゆえにこれもまたインターネット社会の生理(まだ病理とは呼べない)の表象として受け入れられることを望む。

「ヒット」なき世界に「紛れもなく存在するもの」とはいかなるかたちをとるものか。

うさぎふらすこがいつか何かに出会うのだとして、こうした問いに解を出せれば、一銭にもならずとも、それを勝利と呼ぶことができるだろう。