新宿メロドラマ

安っぽいヒューマニズムは要らない。高いのを持ってこい。

HCMC RUN 2016反省会。

f:id:boiled-pasta:20160126162902j:plain

世界を憂うファッション系ブログにはふさわしくない話題になるが、「HCMC RUN 2016」(俗称:ホーチミンシティマラソン、ただし少なくとも今年までフルマラソンは設定されていない)を振り返る。

後述のとおり、蓋をあければ多くの日本人が参加していたわけだが、その割に事前の情報が少なくてドキドキしたため、どなたかのお役に立てばと思い、身を切る思いで、やる。

 

暑い

「気付けよ」と云われるのだろう。

暑かった。

フルマラソン完走」を目標に掲げながら、当日まで一度も路上へ出たことのなかったインドア派、空調のきくジムのなかとはワケが違うことを思い知った。

特にホーチミンシティ、数年前なら12月から1月あたりはもう少し過ごしやすい気候だったと思うのだが、いまや普通の夏である。

主催者の発表では25℃から27℃になるということだった。要するに夏日だ。

スタートは6時の予定だったが、日の出を待ったのか15分ほど押した。

ちょうど曙光が差したあたりでのスタートになるが20分も経てば気温はぐんぐん上がるし、基本的に陽射しをさえぎる要素は何もないので、帽子、日焼け止めは必須だと思った。

あと、今回はむかしユニクロで買ったヱヴァンゲリヲンのTシャツを着て参加したのだが、通気性のよい、ちゃんとしたランニングウェアで走りたかった。こういう細かいところをちゃんとしないと、これ以上の距離は走れそうもない。

なお2016年の場合、5kmと10kmはお仕着せのシャツを着用することが求められており、21km(ハーフマラソン)の参加者は自由な服装で参加、Tシャツは完走後に配られるという仕組み。

 

運営はしっかりしている

初めて参加するのでほかと比べようがないのだが、ベトナムをご存じの方なら誰もが共有している「なんとなく、不安」な感じは当たらなかったので、運営はしっかりしていたのだと思う。

ウェブサイトはスマホにも対応しており、情報発信にも過不足がない。ベトナム語/英語の2言語対応だが、英語からして運営慣れが伝わってくる安心感があった。

当初ミドルネームを入力しないとエントリーが完了しないという仕様(「仕様です」)がみられたが、すぐに修正された(「仕様変更です」)。

また今回は前日にゼッケンをもらいにいかないといけないのを知らず、ギリギリセーフな感じだったが、運営は告知のメールをくれており、見ていない僕が悪いだけだった。

 

レース中、給水所も21kmで6箇所ぐらいは用意されていて、回数としては充分。

配られるのはLa Vieのボトルで、よく冷やされていて助かった。スポドリ的なものを受け取れるところも2箇所ぐらいあったと思う。

何より各給水所に充分な人数のボランティアがいて、このあたりはベトナムのいいところなわけだが、みんながとても一生懸命サポートしてくれているのがわかって嬉しかった。

コースの誘導と安全確保をやるマーシャルもあちこちに立っていて声援を送ってくれたりと、このあたりは文句のつけようのない体制。

 

ゴール地点のクールダウンエリアでは水とポカリスエットがエンドレスで配布されていたり、マッサージを受けられるブースがあったりバナナが食えたりと、いくらか忘れたけど、払ったエントリーフィーでは申し訳ないほどの至れり尽くせり。

前日のRace Kit Pickupとか、今回は利用しなかったけど手荷物を預かってもらうところとかも混乱はまったく見られず。

なにかと大変なベトナムで、ここまでしっかりやってくれた運営には感謝しないといけない。

 

コースがぐう畜

高級住宅街のなかを抜ける7区が会場ということもあり、道路は綺麗で走りやすかった。交通規制もちゃんとされていて、車線の少ない橋の上をのぞけば不便に感じることはない。

ただ10kmと21kmのコースに設定されているPhu My橋は想像以上にハードなポイントで、半分近くまで走ったときに、前方へせり上がる橋が見えてきたときには正直震えた。

http://www.talkvietnam.com/files/2012/07/phu-my-bridge-connecting-district-2-with-district-7-in-hcmc-photo-sggp-492116-images218184-cauphumy-vonngoaingansach-sggp.jpg

Public-Private-Partnership formula fails to lure investors — Talk Vietnam

登りきったところが折り返し地点だから、登りはじめたときと降りてきたときでは人相が変わるぐらい削りきられていた。どんなコースにもアップダウンはあるんだろうけど、この橋を降りてきてからまだ7kmとかは、ちょっとNGだと思う。

 

雰囲気はゆるい

スタート地点では、欧米人を含め結構ガチな出で立ちのひとがいてビビったけど、実際には楽しみましょうという空気の強いイベントでよかった。

具体的には21kmにエントリーしてるのに3km地点ですでに歩いてる人とか、着ぐるみ・コスプレで21kmを走っている無数の日本人とかがいる、ファン・イベントという感じ。このあたりも、初めて走るにはちょうどよかったと思っている。

 

僕の反省1: 装備

前述のTシャツや、よくわからんKaepaのバッタモンとか前日に購ったキャップとかいう適当な装備は、今回でもうやめにする。

初めてでもちゃんと走り切れたので、次以降に向け、このあたりはちゃんとした、走るのに適したものを買う。

iPhone + Nikeアプリによるタイム/ペースコントロールは今回、本番で初めて使った(なぜなら、いつもはトレッドミルがやってくれるから)けど、すごくありがたいのでアームバンドかポーチも用意しよう。

あと、今回は途中までCNNを聴きながら走っていたのだが、トレッドミルでのワークアウトはまだしも本気で走ってるときにニュース聴くのは精神的に厳しいので、このあたりも考え直す。

 

僕の反省2: コンディション

マラソンはどうしても朝早くのスタートになるようなので、前日早く休めるように気をつけないといけない。

今回は結局、3時起床の予定に対して眠りに落ちたのが1時過ぎだったから、このへんが終盤体力的にかなり効いてきてた可能性がある。

それから当日の朝食。

胃腸が弱っているのがデフォなので、流動食的なもので済ませるのが吉と思っていたけど、土壇場で怖くなってラ王担々麺とかいう狙いのはっきりしないものを食ってしまった。おかげで5kmあたりから消化不良による胃もたれ・吐き気で辛い思いをした。

当日の朝は、やはり食べる。ただ、袋麺とかいう乱暴なものは避ける。

ところでゴール後に簡易トイレで吐いたら、なぜか洗面器のなかで金魚が死んでた。

このあたりの謎はベトナムっぽいと思った。

 

僕の反省3: 距離が足りない

通常のトレーニングは、「ウォームアップ10分、ジョグ50分、クールダウン5分」の65分で、クールダウンをのぞき8km。

これが全然足りてない。

トレッドミルでの「8km / h」(アメリカだと「5mile / h」)でトレーニングしていると、実際にロード(道路)へ出た際には12km / hで走れることが分かったので、ペースはとりあえず、これでいい。

今回は終盤に暑さと体力、アップダウンの問題でペースが大幅にダウンすることが分かっていたので、前半にこれぐらいのペースで距離を稼げたのはよかった。

しかしゴールした時点では完全にバテており、自覚症状として死の寸前だったのであり、タイム云々のまえに、現状でこれ以上長い距離を走ることは不可能だと判断している。

また、長距離になると歩いたり休んだりして体力を回復しながらゴールを目指すことが必要になってくるはずだが、トレーニングではずっと走り続けているので、止まるのが怖いというのが正直なところだ。

「休んで、また走り始める」ことに慣れるため、今後は「ウォームアップ10分、ジョグ50分、クールダウン5分、ジョグ30分、クールダウン5分」という100分コースを取り入れる。

フルマラソン出場に向けて)切り替えていく。

 

僕の反省4: ランナーズ・ハイはこない

今回一番キツかったのが終盤、バテと吐き気を相手にしながら這うようにしてゴールを目指した最後の4kmだった。

だが、これは事前の想定ではフルマラソン経験者のGさんがいう「ランナーズ・ハイ」がやってきて、急に楽になってくるはずの区間であった。

「実際走るとランナーズ・ハイっていう、すげぇ楽になってくるタイミングがあるんで、ハーフマラソンなんかは気合いで余裕っすよ」という口調でお気づきかと思うが、Gさんもまたウェブ広告業界出身の浅薄な人間だ。

どうして信じてしまったのだろう。いまかいまかと思いながら待っていたが、結局楽になるタイミングなんかなく、スタートからゴールまで、ずーっとしんどくなっていく一方だった。

理屈でいうとランナーズ・ハイというのは、体力が限界に達したときに無意識のリミッターがはずれて、普段は使わないようセーブされている邪気眼みたいな力が解放されるということらしいのだが、どうやらその「普段は使われないようセーブされている」力というのが、僕にはないらしい。

みんなが八割の力で生きている世界を、僕だけ十割で生きているのだろう。悲しい。

歳のせいかもしれないが、歳のせいにして新しいことに手を出さないのでは、あまりにも残念ということで始めたジョギングが今回こうしてハーフマラソン完走という結果に繋がったわけなので、今後も地道にトレーニングを積み、健康とやりがいの両方を手に入れていこうと思う。

駅伝がマラソンをダメにした (光文社新書)

駅伝がマラソンをダメにした (光文社新書)