iPodを人に貸した。よってiPodなし。
最近の若者は携帯で音楽を聴くとかいうので、ものは試しと携帯にイヤホンを差して仕事に出た。
特にアニメソングにおいて、iTune Music Storeでは手に入らないため、auはLISMOを介して入手する以外にない曲は少なくない。
こうして私は携帯に常時10曲内外のアニメソングを格納している。どうでもいいが用途は着うたと目覚ましである。
こういう凄いヤツを見付けた。
「タクシー運転手がコンピューター専門家と間違われて生放送に出演→何となく音楽ダウンロードの未来を語る」
話をもどす。
まず私の携帯は二つ折りなので、音楽プレーヤーとしてはすこぶる操作性が悪いわけだが、サイドキーの扱いに慣れるとポケットに入れたままでも「とばす」「もどる」と音量調整ぐらいはできるようになり、通勤用のプレイリストをかける分にはiPodより便利である。
だがそんなことはどうでもよい。
問題は、こうしてイヤホンの先にぶらさがった携帯を手にあらためてあたりを見回してみても、携帯で音楽を聴いているらしき若者などどこにもいないということだ。
むしろポケットのなかに続くイヤホンの先から携帯がでてきた様をみた周囲の目は「そこはiPodだろっ!」と上から突っ込んでいたり、ひどいときには「あ・・・iPod買えないんだ・・・・・」と哀れんでいたりする。
そのうちに黒いイヤホンで携帯から音楽を吸っている自分が、勘違いした若者像を模倣するみじめな中年に思えてきた。
と思った矢先、事の次第はさておいて、まさにそうだと気付いた。
そうだよ。そこはiPodだよ。ありがとう、詳しいんだね。
買えなくもないよ。貸してあげたんだよ。心配させてごめん。
西口あたりの歩道橋下で僕は立ち止まり、目は伏せたままそっとイヤホンをはずすと携帯はバッグにしまい、背中を丸めてまた歩き出した。