上着もいよいよパーカー1枚では厳しくなってきたぞという9月末のボストンで、Berklee College of Music主催のBean Town Jazz Festivalなるものが開催されるというまさにその土曜日だけは突如として雲ひとつないカンカン照りのフェス日和で、日焼け、脱水による頭痛、倦怠感など被害は甚大である。
今日いちばん良かったのは札幌から研修旅行にきていた中学生たちによるビッグバンド。
時差ぼけも緊張もあろうことながら、なにより何が何だかワケのわからないことだというのに場慣れした様子も見せつつ期待以上の音を聞かせてくれたのが嬉しい。
ステージでは楽しそうにしてるのすら何人かおり、若くししながら腕にいささかおぼえあるプレイヤーたちの姿はまぶしかった。
ステージから英語で挨拶したバンマスはカンペを間違えて同じスピーチを2回したが、その経験こそが今後海外へ出て行くときには度胸となるだろう。幸多からんことを祈る。
ところでさきほど「フェス日和」と云ったが、わたしはあまりフェスに行かないので果たしてフェス日和などというものがあるのかどうかもよく知らない。
SNSを見る限り、小雨ぐらいなら小躍りして「参戦!」とか云っている人が多いようで、フェスと天気はあまり関係がないのかもしれない。
最近では「フェス休」なる休暇を設定している会社もあるそうで、会社がフェス認定したイベントに参加する場合、規定を超えて別枠の有給休暇が付与されるという。
就職活動中の諸君は詳報を待て。
しかしフェスに参加するひとたちはなぜそれをもって「参戦!」とか云っちゃうのだろう。
ウクライナ東部へ事実上の進駐におよんだロシア軍だが、兵士たちは自主的に休暇をとってウクライナへ入っていると親ロシア派幹部が主張している。
「彼らは休暇をビーチではなく、自由のために戦う兄弟たちと過ごすことを選んだのだ」
ウクライナに出兵するロシアの創造的言い訳 | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
まさに「参戦なう!」。
ビール、ビール云いながら自撮りで「参戦!」なんて云ってる場合ではない。
こっちはロシアがフェス認定しているのだろう、戦車まできているのだから。
他方、参戦といえばこういう話も話題にのぼっている。
こちらは「参戦なう」ではなく「帰国なう」が危ぶまれるのであって、つまりISISの意向を汲んで帰国した人間が祖国でテロに及ぶのではないかということがイギリスやフランスでは怖れられている。
大学で比較宗教学の講義をしていた先生は「オウムの信者がほんとに日本を転覆させたいんだったらね、武器なんか要らない、毎朝一人ずつ中央線に飛び込んで電車止めてやったらいいんですよ!」なんて云っていたが、彼はイスラム擁護論者だった(誤解のないように付け加えれば、「イスラムは宗教というよりも生き方そのもの、つまり信徒にとり教義は世界であって、外部からの批判にはあたらない」という意味で彼は「イスラムに対する戦争」を批判していた)。
「哲学と宗教の違いは、行動にあらわれるかどうか」だという言葉が心に残っている。
少し前にはミリオタがこじれて海外の紛争地帯に自腹ででかけていき、どちら側につくでもなく勝手に戦闘に参加している日本人がいるなどという話を聞いて耳をうたがったのだが、
「しかしどうやって入国すんだよ、装備なんか持ってけないだろ」と問うたところ、
「そりゃ飛行機はダメなんで、船に潜り込んで何ヶ月かかけて行くんですよ。『月刊Gun』とか読みながら!」と云われて笑ってすませてしまった。
そういうのが参戦しているうちは、ただ国際協調に集中していればよい。
Berkleeにも在学していたというAubrey Loganなる女性ミュージシャンのステージに心動かされる。
ググればJazzミュージシャンとして取り上げられているのでロクなクリップがあがってこないが、ジャンルを超えた作家性と歌声、トロンボーンプレイがよい。
本日、秋フェスに参戦わず。