新宿メロドラマ

安っぽいヒューマニズムは要らない。高いのを持ってこい。

アルファ・ブラボー・チャーリー・デルタ。

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おはよう、わたしだ。

昨夜はひさしぶりに冷や汗、手のしびれ、めまいなど完全に食あたりの症状を発して路上でお客さまの到着を待つあいだ馴染みの居酒屋が店の前に出していた椅子を借りてへたりこむという記録的なピヨり方を見せたが10時間余り寝込んで無事回復した。

なにに当たったかについてもちろん心当たりはあるのだが、いつもの通り黙秘とさせていただく。

確証のない話だし、そもそも集団食中毒が出たわけでもない。ただ体調の悪かったわたしが当たっただけの話しだからだ。

それにしてもこれから会食だというのにコンビニで素早くポカリスエットを5本買いこんで地獄の夜に備えるというあたりに自分なりのたくましさを感じた。

「サバイバルには弱そうですね」と社員に云われた企画会議。

「ここからはサバイバルになると思った時点で自分から死ぬよ、俺は」

あながち冗談ではない。

特に人を押しのけて生き延びるのは苦手だ。

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マット・デイモンとかいうグロ俳優が主演したこともあって台無しになった「ボーン・アイデンティティー」に始まる映画「ジェイソン・ボーン」シリーズ。

世界中で暗躍を続ける暗殺者・ジャッカルを仕留めるべく執念を燃やすCIAは、ひとりの男を暗殺者に仕立て上げジャッカルの名声を横取りさせることに決める。怒り狂ったジャッカルが自分の偽物を殺すために姿を現したその一瞬、偽物の放つ弾丸がジャッカルを葬るたった一度のチャンスを呼び込むために。

「暗殺者」「殺戮のオデッセイ」「最後の暗殺者」と続く大河ドラマはお互いに老いたジェイソン・ボーンとジャッカルがついにその時を迎える完結編「最後の暗殺者」がたまらない。完全に守りに入った老人が偽物として過ごした自分の人生に向き合おうとする姿がたまらない。

暗殺者 (上) (新潮文庫)

暗殺者 (上) (新潮文庫)

 

 

殺戮のオデッセイ〈上〉 (角川文庫)

殺戮のオデッセイ〈上〉 (角川文庫)

 

  

最後の暗殺者〈上〉 (角川文庫)

最後の暗殺者〈上〉 (角川文庫)

 

いまみたら「殺戮のオデッセイ」と「最後の暗殺者」の表紙がレイプされていた。

文庫カバー不可避。

 

「暗殺者」でボーンがベトナム戦争時代の戦友の言葉を思い出していた。

「睡眠は武器だ」。

不眠=丸腰ということでこれは間違いない。

体力の回復もそうだが、成長ホルモンの分泌によって細胞が再生するのも、脳の記憶が整理されるのもすべて睡眠中。

歳をとったとかつまらなくなったとか云われても構わない。夜早く寝て朝早く(あるいは早めに)起きられるようになりつつあるこの秋があと3年と迫ったわたしのゴールに向けて重要なジェットソンポイントになることを期待している。

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ポカリスエット大塚製薬、それから大塚家具、大きなグループですよねーなんて云われることがあるんですが、あちらはすべて別の会社で、我々は大塚商会という会社。強いて云えば大塚商会グループの一社です」

ヤクルトホールで行われた企業説明会で担当者はこころなしか誇らしげに云った。

「当社の入社後3年間の離職率は約30%です」

その後数年で日本の常識になるこの数字を胸を張って語る姿には激しい違和感をおぼえたが、どのみちエントリーシート段階で落ちた。特技が「梱包」と「縦列駐車」しかなかったせいかもしれない。

朝日新聞の記者はこうも云っていた。

「明け方支局のソファで少し仮眠する程度、それが何年か続きます。自分でもなぜやれたのか、振り返ってわからない程度です」

幼い頃から抱いていたジャーナリズムへの憧れもなにも、その一言で吹っ飛んだ。

その感覚をもう少し延長すると「まともに会社勤めするやつの神経がわからない」となり、その頃以来わたしの人生は混迷の10年を迎える。