新宿メロドラマ

安っぽいヒューマニズムは要らない。高いのを持ってこい。

ステイ・マッサージド。

さていっこうに増えないが本日も熱心にアクセスいただいている数少ないユニークユーザーの皆様に対して裏切りとも呼べる商業的な内容でお送りする。

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ホーチミンシティで「マッサージといえば?」と100人の俺に聞くと100人が100人とも口を揃えるのが「Moc Huong Spa」。

申し遅れたがこのエントリーは頼まれもせずまた店側も知らないのに好意で行われる捨て石マーケティングである。

 


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ホーチミンシティには二種類の日本人がいる。

マッサージが好きな日本人と、そうでない日本人だ。

 

そんな街において近年MPI(Massage Price Indicator = マッサージ物価指数)の急速な低下が観測されている。

なおMPIは名目ではなく実質価格をサンプリングしているため、名目的に同じ料金であっても(つまり支払う額が同じでも)マッサージのクオリティがあがっていれば「価格は実質的に低下した」と捕捉されることに注意されたい。

 

Moc Huong Spa。

開店当初は簡単なカットサロンがロビーに併設されており、おもむろに座るなどするとちょっとひどい目にあわされたものだが余程評判が悪かったとみえ早々と撤去されて現在はなかなか文句のつけようがない設えとサービス、価格のマッサージ店だといえる。

わたしの訪問ペースについては公表を控えるが、オープン1年目のアニバーサリーを機に導入された「VIP会員」制度におけるわたしのナンバーは「002」である。むかしから「ナンバーツータイプ」とよく云われてきた。

もっともこれを境に招かれるようになったアニバーサリーのレセプションというやつはいただけなくて、行ってはみたものの当たり前で知っている顔はひとつもなく、1時間黙々とスマホTumblrをやって、白ワインを5杯飲んで帰ってきた。

わたしの人見知りがひどいことは認めるが、マッサージ屋で客同士がマブるっていうのはいったいどういうことなのだろうか。2年目はタイミングがあわず日本にいたので断ったが、どちらにせよもう行きたくない。

 

この店のよいのはハコが大きくて余裕があり、施術中の疑似プライベート感が充分に保たれていること、ロッカールームが広々としていること、タイから導入される指導のたまものかオープンから2年あまりを経てセラピストによるムラが小さくなり、その偏差がきわめて中央値近辺に寄っていることだ。

新店もできたようだが新物によわい私はまだ近寄っていない。ただ、おかげで旧店の客が減ってウォークインで断られることがなくなったのは大変ありがたい。

なおベトナム事情にあまり明るくないという読者の参考にお知らせすると、Moc Huong Spaの名目MPは90分のホットストーンマッサージ(全身)で500,000VND(ベトナムドン) ≒ 2,500円。てもみんだと30分の上半身マッサージ代にも満たない金額だ。

しつこいようだがわたしはVIP会員なので永久に10%オフで450,000VNDになる。

よく日本から視察のお客さまがいらっしゃると、騙して一日はクチトンネルツアーへ放り込み、その間にできた時間で本来の仕事を片付けたりしているわけだが、フラフラになってお戻りになったあとこちらのマッサージへご案内すると皆さん私への恨みは綺麗に忘れて飲みに行こうという気分になっていただける。そのうえ皆さんの分まで10%オフということで私も存分に鼻が高いというものだ。中国に古くからたびたび出張されている社長さんが「もう安くてうまいマッサージとなると、中国じゃなくてベトナムなのかなぁ」と感慨深そうにおっしゃっていた。

 

それではいつかMoc Huong Spaのロビーでお目にかかるのを楽しみにしている。わたしがいつも手をつけない施術後のアミューズをあなたに差し上げようと思う。そのあとサイゴンの長い夜をご一緒などできればなお幸いだ。

エンガプライ。