「日本これからどうなっていくんですかねぇ」と訊かれることが多いが、「訊いてどうするんですか」と応えたいのがこちらの本心で、「え、そんなことになっちゃうの?じゃ頑張らないとヤバいっすね〜」って云うんだったら最初から頑張ればいいし、他方、「お、だったらこうすりゃ逆に儲かっちゃうかもしんないっすね!」程度の思いつきだけで儲かっちゃったという話は寡聞にして聞かない。
正直に云えば日本ではこれから多くの人が時給500円ぐらいの低賃金労働を移民と奪い合うか、または農業をやることになるんじゃないかと思っていて、そのときの「低賃金労働とは何か」を占うのにいいのは今ちょうど若者がやらなくなって人手不足が深刻になってきたのを移民で補おうという話になっているか、すでに不法就労者を含む外国人によって占められている分野であって、即ち「建設作業員」「介護職」「飲食」「販売」といったあたりは間違いない。
なお同様に若者がやりたがらない仕事のひとつに堂々ランクインしている「システム開発」とかいう腐海があるらしいが、これは私をはじめとする多くの志あるナウシカたちが海外へ持って行って産業として再生しようとしているのでいったん忘れてもらって結構だ。
話せば長くなるが今日はほかの話をしたいので乱暴に云ってしまうと日本は「アニメとウォシュレットとFXの国になればいい」というのがかねてより私の持論である。
私たちはITとかディスプレイとかドローンとか云わず便器に異様なレベルで手をかけてまったくの別物にしてしまう日本人の病質に前向きになるべきだし、何も工場を建設しなくたって本当の意味でものを「造り出す」ことは少人数でもできるから、もっと自分たちの身の回りをよくみて、そこにある世界にこだわったらいいと思う。
他方アニメは文化産業であって技術よりも作り手と受け手の間に共有されるミームの存否に依存するので、日本の競争力はまだ当分脅かされることがない。
これはアメリカがフロンティアスピリットで100年、起業家精神で100年飯を食ってきているのと同じ次元の話だと思ってよい。
女子高生と軍艦が一体化して戦闘を始める姿に本気で驚く連中には、自分たちが日本のクリエイターやプロダクションは云うにおよばず日本の消費者のレベルにも追いつけていないという劣等感があるはずだ。
「二流の国民には二流の政治家しか与えられない」というならば「一流のアニメは一流の視聴者にのみ与えられる」のであって所詮は全話収録のDVDをオフィシャルなのに35ドルぐらいにしないと売れない欧米各国の消費者のレベルでは、当面まともなアニメが生まれてくる土壌は育たないと思ってよい。
この「売れはするがマーケットに充分なパワーがなく、作れない」状態にとどまる国や地域に広く浅くコンテンツを流通させていくという戦略はいい。
ただし「クールジャパン」などといって要らんところにカネをかける必要はない。
アンテナの高い奴はもう食いついているのだから、プロモーションではなくコンテンツ流通の仕組みを開発しなければならない段階だ。
あとこれは最後であってかつどうでもいい余談だが、なんだかんだ云ってカネを稼ぎたい奴は自宅からネット証券を使ってグローバル金融市場で勝負すればいい。
決して簡単なことではないし市場に流動性をもたらす裁定取引者の存在は必須だし、収益は日本で課税されるので社会的正義も果たされる。
アニメも好きなときに観られる。
このどれにも魅力や可能性を感じなかった人は死ぬか海外へ行って無数の可能性に目を開こう。
きみが日本に生まれたのはたまたまだ。
* * * * *
古来八百万の神が入り乱れ、それこそレイブでも酒盛りでもやっちゃう「まさに神の国」(©森喜朗)であっという間にいま一番ホットな神になってしまったのがヘスティア様。
よもやご存じない方もいらっしゃるまいが、今月から放送がはじまったテレビアニメ「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」(「ダンまち」)のヒロインというかマスコットだ。
※以下の動画は無意味で中毒性があり、かつ30分の尺があります。再生は自己責任で。
いま、無性に歯を磨きたい。
英・デイリーメールより。
海外での報道は一様に「アニメのキャラに触発された日本の女性が胸を強調するために例の紐を使い始めた」というもので、コスプレと一般のファッションを混同しているあたり「てめぇらウェブで取材してるだろ」というのが透け透けだが、透け透けもいい。
イギリスの地図が擬人化されたときのように「日本人はもっと時間を大切に使え」と云われることもなく、21世紀の日本人像は無事定着したと考えてよいだろう。
※マンチェスター注意
同様にタイでも「日本人女性の新しいファッション」と報じられた模様。
間違っているがそれでいい。
あとタイのテレビではヘスティアの胸の谷間にモザイクがかかっていたというので少し話題になったが、タイという国も本音と建て前の忙しい国で、「クレヨンしんちゃん」ではしんちゃんのお尻にモザイクがかかるぐらい公共の場での「猥褻表現」には厳しいと聞く。
なお公共の場での勧誘行為や密室での猥褻行為に鷹揚なのはご存じの通りで、一度バンコクのシェラトンホテルに泊まったらミニバーにコンドームが備えてあってひっくり返ったことがある。
※なおこれはもちろん女性に限らないし、性労働者の場合男性の感染率は女性の2倍にのぼるといわれている。
話を紐に戻す。
日本では大変だったのがtumblrで、「ダンまち」の放送開始から先週ぐらいまではダッシュボードの8割方がヘスティア画像で埋まってしまい使い物にならない(使い物にならないとは云ってない)状態が続いた。
キャラデザの勝利ならぬ、これはやはり紐の勝利だが、それにしてもいまさらですがなんでこんなに揺れてるんですかねという問題について、ゲームにおけるキャラデザとプログラミングの歴史にダイブして分かりやすく解説してくれるエントリがこちら。
英語では「ブレスト・フィジックス」。つまり「オッパイの物理演算」というひとつの専門用語になっているほどの扱いを受けている、ゲーム内のオッパイ揺れ。
こちらのエントリでは触れられていないが、洋ゲーではやはりこの「揺れ」がレイティングに強く影響するらしく、あまり揺れると「PG12」(12歳未満は保護者による助言・指導が必要)などといった指定を受けて、販売可能対象年齢が狭くなってしまい、売上に響く。
このあたりの事情は日本でヒットしたアクションゲーム「サムライキッチン」を海外版へ移植しようとする「東京トイボックス」でも紹介されている。
私の大変お世話になっているオジサマの経営するゲーム会社では、女の子の3D表現にお家芸ともいうべきノウハウとこだわりをもって臨んでおり、通常は全身に使われる数のポリゴンを片方のおっぱいに使っているとおっしゃっていた。
「揺れが違うんですよ」とやはりおっしゃっていたのだが、残念ながら私はまだプレイする機会を得ていない。
しかし海外への流通を考えると「ロリ巨乳」と云ってしまっている時点で何と云おうと児童ポルノ規制とのバッティングは避けられないわけで、ここは揺れ以上の問題を乗り越えていかなければならないかもしれない。
友人がTRPGでGMする時に、決まった前口上で「このシナリオはフィクションであり、実在する、人物・地名・団体とは一切関係ありません」と、渋い声で述べた後「登場人物は、みーんな18歳以上なんだよ☆」と急に幼い声を出すのを止めさせたい。
— 死んだ社畜 (@nzxt_F) 2012, 10月 21
さる老舗アダルトビデオメーカー様の海外進出を少しだけお手伝いさせていただいた際、会議でアダルトアニメの話になり、「ショタは危険だから今回は(海外のコンベンションには)出展できない」という苦渋の決断があった。
アニメなんだから実在の役者がいるわけではないし、「この男の子は小学生に見えますけどね・・・・・実際には18歳なんですよ!」と云いきりたいところだが、云い終わる前に逮捕だろう、それが現実だとおっしゃった社長(監督)の渋い顔が今も忘れられない。
その社長に招待していただいたことが本当に懐かしい世界最大級のアダルトコンベンション・Venusが今年もベルリンにて開催。
当時はゲストパスを用意していただいたのだが、そこには「PROFESSIONAL」と書かれていて、これを首から提げながら居並ぶバイブレーターの写真を神妙な顔で撮影するなどという体験が最高だった。
今年はいち早く航空券、ホテル、入場券などすべて手配を済ませたが、アニメに限らず日本企業の出展はまだ決まっていないらしく、そういったところにこそ不安を感じる。
出展を検討されるコンテンツホルダー、メーカー、サービスプロバイダーの皆様にご用意があれば、ぜひとも現地にてお手伝いさせていただく所存である。
この国の、未来のために。