新宿メロドラマ

安っぽいヒューマニズムは要らない。高いのを持ってこい。

ひとつ屋根の下、見えない相手と切り交わす俺の宗教戦争2.0。

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校長「みなさんが無線LANの概念に慣れるまで10年かかりました」

 

思えば電話との併用もできなかったダイヤルアップ時代からISDNADSLから光、家庭内無線LAN、そして最近では家でもスマホテザリングしか使わない方針の方など、まったくこの20年あまりのネット通信の激変には禿げあがる思いだ。

ところでベトナムという国ではだいたいどこの店に入っても無料でWi-Fiが提供されているわけだが、

俺 "Wi-Fi Password?"

店員 "One to nine"

俺 "129?"

 というやりとりが、稀によくある。

 

なお「稀によくある」という状態について説明せよという問題はテストに出るので図解をみて、よく理解しておいてほしい。

そしていまやWi-Fiを検索するときに楽しみなのが、自分のネットワークに奇想天外な名前をつけているヤツとのバーチャルな出会い。

26 猫又(神奈川県) 2012/06/02(土) 14:40:09.84 id:xgIZphUoP
 
近所にご近所ゴシップ&悪口を無線LAN名で広めてる奴がいて面白い
 

ボストンのアパートでは入居時より「DontTrustThePope3.0」(「ローマ法王にダマされるな3.0」)というネットワークを飛ばしているヤツがいて、いろんな意味で割と電波が強い。

昨日から我が家もワイヤレスルーターを使い始めたため、ネットワーク名を「WeTrustThePope1.0」(「ローマ法王を信じる会1.0」)で公開してみた。

反応が楽しみだ。

これは個人的、擬似的な宗教戦争だ。

 

ところで宗教戦争といえばアルマゲドンアルマゲドンといえば「ポピュラス」だよねということで、ポピュラスのクリエイターであるピーター・モリニュー氏が発表した「Godus」というゲームを貼っておく。

Kickstarterで資金を集めたPC版の開発が行き詰まっていると報じられている。

待たされ続け怒りに燃えていたコミュニティ、両者の関係はひと目でわかるほど険悪だった。海外メディアGameindustry.bizのインタビューにて、モリニュー氏は自身や自身の家族にも脅迫がおよんだことを明らかにしている。

ピーター・モリニューの『Godus』における失敗 | AUTOMATON

ゲームコミュニティとかいうクズの集まりがクリエイター様に対して容赦なさすぎて毎度草w 

Godus

Godus

  • DeNA Corp.
  • ゲーム
  • 無料

さて「イスラム国」を自称する過激派集団ISILとの戦いは宗教戦争なのだろうか。

たしかにアメリカではキリスト教徒が八割近くと圧倒的多数を占める。

一方、シリアも「イスラム国」 もアルカイダムスリムによる国や組織に違いない。

だが戦いは、「イスラム教だから」「キリスト教だから」といって戦われているのではない。

かつて不肖私が卒業論文のテーマにしたサミュエル・ハンチントン大先生の「文明の衝突」がぶちあげたように、文明圏同士が激しいきしみをあげてぶつかりあっているのでもない。

すべてはカネと政治と安全保障をめぐって争われているのだ。

テロリストだってそうだ。

彼らは世界が自分たちを受け容れようとしないと感じるから、その「世界」とやらに対して無差別に暴力をぶつけているだけだ。彼らはムスリムがテロの犠牲になったとしても構いはしない。

自爆テロは天国で報われると信じるムスリムに特有の行為」だといって怖れる人もいるが、では日本の神風特攻隊による挺身はどう説明するのか。

何も「天国での報奨」だけが人をして積極的に死を選ばしむるわけではあるまい。

そうではなくて、人間は、あるとき非人間的になることができるというだけだ。

キリスト教徒もムスリムも、母親も未成年も。

あなたも、わたしもだ。

この可能性のあまりにも暗い深淵をのぞきこむのが怖くて人は「ムスリムは理解不能」「ジャップは理解不能」だとフタをしているだけなのだろう。

だいたいアメリカでの銃乱射事件や爆破事件だって、イスラム教過激派シンパによるものが目立つようになったのは最近だ。

それまでは普段家でマリリン・マンソンばっかり聞いていたイケてない奴(北川さん、すみません)がいきなり学校に来たと思ったら銃を乱射し始めたとかそういう話だったのではないか。

ではアブないからといって、女子に相手にされないタイプのイケてない奴をみんな国外追放するのか?

そんなことをしていたらマイクロソフトFacebookもアメリカでは生まれなかったことだろう(Appleは生まれたかもしれない。そのへんがスティーブ・ジョブズの憎いところだ)。

だからドナルド・トランプのように「アメリカはムスリムの入国を一時的に禁止しろ」などと云いだすと、こいつはバカだと思われる。

このひとは逆に、戦争をムスリム対、非ムスリムに拡大しようとしているのだが、本人がそれに気付いていない。

戦争をある図式にあてはめて理解しようとする行為は常にあらたな戦争を呼び寄せる。これは地政学の罪と同じだ。

だからトランプに対してアメリカが共和党・民主党を問わず素早く激しい非難の声を浴びせたのはまだしも救いであった。

なお移民との摩擦がフランス同様、深刻な問題となっており実際にテロの被害にも遭ったイギリスではドナルド・トランプの入国禁止署名サイトに希望者が殺到してサーバがダウンした。

まぁこれはデモみたいなもんで、実際に入国禁止になるわけはないが、トランプはイギリスにゴルフコースを所有していたりするので、嫌われ者になっては格好がつかないだろう。

なお40万名の署名というのは、かつてアメリカでジャスティン・ビーバーの国外追放を訴えて集まった署名の4倍以上にのぼる。

ジャスティン・ビーバーw

失礼。

話を戻せば、イスラム教過激派が世界中でテロを起こしているからといって、イスラム教徒相手の戦争を始めてはいけないということだ。

この日経新聞の記事によれば、人類のおよそ3人に1人がイスラム教徒だというのだ。

16億人だ。

そういうことだ。

日本では凄惨な事件が起こるたび、犯人が好んだというアニメやゲームがやり玉に挙がるが、それとて「人間は誰もが他の人間に対し暴力的な存在になりうる」という事実に目を向けては安心して生きていけないと怖れる気持ちがそうさせるのだ。

よく調べれば、世の中にはさしたる理由もなく人を殺しているやつがもっとたくさんいる。

暴力は自分とは無関係だと1秒前まで安心していた奴が2秒後に死んでいることの方が、イスラム過激派によるテロなんかよりずっと多い。

はた迷惑なフィクションで安心するよりは、こうした現実に目を向けて、歯を食いしばりながら平和を叫ぼう。

 

南無阿弥陀仏。 

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