新宿メロドラマ

安っぽいヒューマニズムは要らない。高いのを持ってこい。

2テラバイトの宇宙誕生(俺の家に)。そしてホーキング博士は(病院で)語る。

ホーキング博士、緊急入院。


15 :名無しさん@八周年:2008/04/22(火) 16:54:35 ID:6TaPb+iB0

結局この人の功績って何なんだ

20 :名無しさん@八周年:2008/04/22(火) 16:56:02 ID:/cp3j7100

>>15

やれば出来るってことを証明した人

ああ、そうだな。

その反論をゆるさぬ語調に、今世紀、この国に2ちゃんねるの右に出る警句家はもう現れまいと思う。

そしてその圧倒的な虚無感はもはやまんざらでもない。


ところで私はホーキング博士の仕事に詳しくない。


週末。

生まれて初めて撮影した映像を編集するため、不肖(あらためて述べる)・MacBookAirにカメラをつないだら、軟派な内蔵ハードディスクが容量オーバーで破裂しかけた。

ハードディスクの増設が必要とされている。

あわてた割に遠出した先のヨドバシカメラでは1テラバイトの外付けHDDがいまや1万円台である。

120GBがヘブンだった頃とは隔世の感あり、だ。

それでもUSB接続のタイプとFireWireによるそれのかなうものとを隔てる数千円の価格差にケチケチと迷ったあと、

「FireWireなぞ不要!(←バカ)」と決め、13,000円なにがしでUSBタイプの安物を購い、ほくほくと帰宅する。

哀しみがベルを鳴らすのはここからだ。


やってみてわかったのだが、iMovieはUSBで接続されたハードディスクを認識しない。

つまり逡巡の末に私が選んだハードディスクはそういう意味で、ゴミである。

我と我が身を呪って小一時間も悶えたあと、埃をはらい、それでも私は街へ出た。

一度は思い切った、FireWire接続も可能だとうたう、しかし割高な方を求めて、今度は手近なビックカメラへ私は向かったのだ。


ビックカメラでは同様のラインナップがヨドバシに比べ20%ほど安く、FireWireタイプはあろうことか先ほどのUSBタイプと同じ値段で売られていた。

もうこれ以上間違わなくて済むということぐらいしか明るい材料はなかったが、気丈にこれを買い求めて帰宅し、乱暴に破り捨てたパッケージから(ふたつめの)ハードディスクをつかみだして私は気付く。


MacBookAirにはFireWireポートがない。


こんどの悶絶は小一時間では済まなかった。

*  *  *  *  *  *

この日、俺の家に宇宙が生まれた。

パッと見では違いが分からないほど瓜二つの、てのひらにも載りそうな1テラバイトの宇宙がふたつ。

動画にもZIPにもまったく興味がない私の部屋に、2テラバイトの広大な宇宙が。

そのまっさらな記憶領域は愚かさで満たされている。


一個の秀でた頭脳ではなく、一人の弱々しい人物(ソウル)としてのドクター・ホーキングがいま、病床で、しかしそれでも自分のことを幸せだと思うことができていればよいと思う。

頭脳などは生意気な、次代の若者達が継げばよいだろう。